インターンシップの重要性と現状の課題
インターンからの早期選考といういわゆる「プレ期」に注力する企業が増えています。実際、学生の多くは夏のインターン期から活動し始めるので、早期母集団をいかに形成し、そこからどう選考、内々定まで繋げるか、ということが重要になっています。就活解禁以降は母集団形成が難しい今、インターン期の母集団形成がポイントになるのです。
しかし、「そもそもインターンシップも母集団が集まらない」という課題を感じる企業が増えています。
今回は、「どのようなインターンが学生の興味を引くのか」をテーマに考えていきたいと思います。
学生の本音:よくわからないけどとりあえず動かないといけない
弊社では定量的なアンケートだけではなく、会員学生の就活支援を通して彼らの本音や、学生本人も気づいていないインサイトを重視しています。日々、学生と接している中で感じる、学生にとっての「インターン」についての本音は下記のようなものであると弊社では仮説立てています。
- 「就活=インターン」という印象なのでとりあえず参加しないといけない
- インターンに参加すると早期選考に呼ばれ就活が有利になる
- よくわかっていないが、大学からも行けと指示される
本来のインターンの趣旨である「キャリア観の涵養」にはなっておらず、選考ルートの一環として認識しているのが実態でしょう。
その是非はともかく、それを踏まえた上で企業はどのように対応すべきかを考えていきましょう。
学生のインターンシップの探し方
学生はどのような観点でインターンを探すのでしょうか。下記は弊社モニター学生に聞いた調査です。
約40%の学生は「もともと興味がある」業界企業を見ているようです。しかしこれはある意味当たり前とも言えます。知らないものを選ぶことは学生じゃなくても難しいからです。
幸い、残りの60%の学生は体験内容で参加するインターンを選んでいるようです。
学生認知度が高くない企業様は、インターンの体験内容で勝負するしかありません。「学生はうちの会社には興味がない」という前提に立ってインターン設計をしましょう。
学生が参加したくなるインターンとは
では、どのようなインターンが学生は参加したくなるのでしょうか。ポイントを絞って解説します。
学生が想起可能な仕事体験の提供
まず重要なのは、学生が関心を持てる仕事体験コンテンツを提供することです。有名企業のインターンや仕事体験は選考難易度が高いため、ほとんどの学生は参加することができません。有名企業の仕事体験に参加できなかった学生の参加を狙っていきましょう。
ただし、学生はまだ仕事の実態をよく理解していないため、自分の興味のある分野で実践的な経験ができるプログラムに惹かれる傾向があります。
ここで注意すべき点は、学生にとって志望度が高くない仕事体験を企画しても集客は難しいということです。特に夏のインターン時期は、学生の社会やビジネスへの理解がまだ浅く、具体的な職種名がイメージしにくい状態です。そのため、「営業」「企画」「マーケティング」など、学生が想起しやすく、分かりやすい名称の職種体験プログラムを用意すると効果的でしょう。
就活支援コンテンツはレッドオーシャンだが、一定のニーズはある
自己分析、企業研究、エントリーシート対策、面接準備、グループディスカッションなどの就活支援コンテンツには一定の人気があります。ただし、これらは比較的多く開催されているコンテンツなので、表現方法や内容に工夫が必要です。
有名なところだとニトリやスカイラークは、数年前から就活支援コンテンツを多数展開し、一種のブランドとして確立しています。「あそこの就活コンテンツは行っておいた方がいい」という評判が先輩から後輩へと伝わる好循環を生み出しているほどです。
すでに企業主催の就活コンテンツはたくさんあるため、後発として参入することは容易ではありませんが、それでも一定のニーズはあります。自社業界や自社単独では集客が難しい企業にとっては、検討する価値があるでしょう。
社員座談会の魅力づけの鍵は“編集”
単に「社員との座談会」と告知しても、企業自体に興味を持たれていなければ人は集まりません。重要なのは、どのような社員が登場するかを具体的に伝えることです。社員の本名を出す必要はありませんが、現在の仕事内容やキャリアパスなど、参加する社員の魅力を伝える「切り口」が必要です。
雑誌の編集者のような視点で、「なぜこの人と話したいと思うのか」という価値を創出することが大切です。単に「先輩社員と話せます」では、学生の参加意欲は湧きません。
コンテンツではなく、形式も大切
カメラオフ参加の許容
コンテンツの種類ではなく仕掛けの話になりますが、学生はカメラオフの方が気軽に参加できる傾向にあります。志望度の高い企業のイベントであれば、学生もカメラをオンにする覚悟で参加しますが、まだ興味を持っていない企業のイベントにカメラオンで参加する動機は低いでしょう。
企業側としてはカメラオンを希望する気持ちは理解できますが、特に初期段階では「まだ自社に興味を持たれていない」という前提に立ち、カメラオフでも参加できる柔軟性を持つことが集客につながります。
採用サイトや説明文の改善
最後に重要なのは、採用サイトや就活ナビの原稿の質です。多くの企業の採用サイトや説明文が抽象的で浅い内容になっていることが見受けられます。人気企業であれば問題ないかもしれませんが、そうでない企業の場合、表現が淡白では学生の興味を引くことは難しいでしょう。
また、業界専門用語の多用も大きな問題です。業界人や社会人にとっては当たり前の言葉でも、学生にはわからないことが多いのです。内定者などに採用サイトや文面を見せてフィードバックをもらうことで、学生目線の改善ができるでしょう。
おわりに
インターンシップの集客は確かに難しくなっていますが、工夫次第で集客は可能です。特に夏のインターンシップは、採用戦略において重要な位置を占めています。ぜひ本稿のポイントを参考に、貴社のインターンシップ集客を改善していただければ幸いです。
弊社では学生の声を多数収集しており、より詳細なアドバイスもご提供できます。ご興味があれば、お気軽に30分程度のオンラインミーティングでお話しさせていただければと思います。