新卒採用の母集団形成が難しい時代に採るべき戦略|集まらない前提で考える歩留まり改善

Strobolightsの羽田と申します。学生向けコミュニティの運営や大学講師をしながら学生の就職活動を横で見ており、そこで吸い上げたインサイトを踏まえて企業様の新卒採用支援を行っています。

今回は、「母集団形成はもはや集まらないものとして考えた方がいいのではないか」というコラムです。特に中小企業・中堅企業の採用担当者の方にとって、視点の転換のきっかけになれば幸いです。ぜひ最後までご覧ください。


新卒採用の母集団形成が難しくなっている、という現実

母集団形成は新卒採用において各社様の悩みの種ではないかと思いますが、この課題は年々深刻化しています。ディスコの調査では、73%以上の企業が採用活動における最大の課題として「母集団形成」を挙げています。また、キャリタスの調査でも、エントリー者がその後の選考へ実際に応募した割合が「低下した」と答えた企業は約4割にのぼり、「上昇した」と答えた企業の2倍以上に達しています。

就活解禁の3月以降にプレエントリーを開始した企業様は特にその傾向が強いようです。結果、インターンシップなどいわゆる”プレ期間”の採用広報がレッドオーシャン化しています。

しかしインターンシップをやれば学生が集まるかというと、決してそういうわけでもありません。プレ期間はレッドオーシャン化しているため、話題性のあるコンテンツを用意するか、ナビサイトのオプションで露出を図りでもしないと、母集団形成は容易ではないのです。


学生の企業探しは「食欲」に似ている

私は日常的に学生と面談をしたり他愛もない雑談をよくしているのですが、学生の企業探しは食欲に似ているなと感じます。食欲がある時はいろいろな企業を探してエントリーするのですが、お腹がいっぱいになると新しく企業を探そうとはしません。

そして、学生はまずは「知っている企業」から受けていきます。問題は、この時点で食欲が満たされてしまうことです。つまり、学生にとって身近な会社を受ける頃にはもう企業選びの時期が終わってしまうのです。

ではどうすれば母集団が集まるのか?と企業の皆様は頭を悩まされるのですが、ここで前述したお話に返ります。つまり「母集団は集まらない前提で戦略を立てる」ということです。


母集団を増やすよりも効率の良い考え方——歩留まり改善という視点

思い返せば2000年代に就職情報メディアがWeb化して以来、日本の新卒採用は「母集団が正義」でした。多くの企業様は母集団の数をKPIに据えて前年との比較や戦略を設計されているのではないかと思います。大量の学生を集めてその数をスクリーニングしていく、という考え方です。

しかし、そのモデルもそろそろ限界かもしれません。何しろ母集団が集まらないのですから。媒体を増やしても、SNSで情報発信しても、思ったような成果は出ないのではないでしょうか。

それであれば、母集団形成に必要以上にリソースを割かずに「集まった学生をどうフォローするか」に注力いただいた方がいいのではないかと考えています。

私は、企業様のイベント企画やスライド作成をご支援させていただくことが多いのですが、「もったいないな」と思うスライドやイベントコンテンツはとても多い。学生にインタビューをすると、説明会は学生の志望度醸成に大きなインパクトがあります。競争が激化している母集団形成にコストと労力を使うより、せっかく集まってくれた学生の歩留まりを向上させる方が、成功確率は高いのではないかと感じています。

説明会参加者が数名でも、その学生たちの多くがその後の選考に進んでくれたなら、それは効率の良い採用活動と言えるのだと思います。

実際、キャリタスの調査でも「せっかく興味を持ってきてくれた学生と、つながっていけるように連絡を取っていくことが重要」という採用担当者の声が見られます。母集団の規模よりも、接触した学生との関係をいかに深めるかが問われる時代になっています。

母集団が減ってしまうのは怖いですし、勇気のいる決断だとも思います。しかし、そろそろ「数を追う採用」から「質を育てる採用」への転換期に来ているのではないかと考えています。


まとめ:集まらない前提で設計する採用戦略

本稿でお伝えしたポイントを整理すると、以下の通りです。

  • 母集団が集まらないのは自社だけの問題ではなく、市場全体の構造的な課題である
  • プレ期間の採用広報はレッドオーシャン化しており、露出拡大だけでは解決しない
  • 学生は「知っている企業」から食欲を満たし、新しい出会いを探す余裕を失う
  • 母集団の「数」より、集まった学生の「歩留まり(志望度・選考参加率)」を高める投資の方が費用対効果が高い

弊社では、学生調査データをもとにした説明会コンテンツの改善や、志望度醸成のためのフォロープログラム設計についてもご支援しています。ご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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参考データ出典

  • 株式会社ディスコ「2024年卒採用活動の感触等に関する緊急企業調査」
  • 株式会社キャリタス「2025年卒・新卒採用に関する企業調査 中間調査」(2024年7月)
  • 株式会社キャリタス「2025年卒採用活動 確保状況・採用動向調査」(2024年10月)

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